ドイツ絵画に出会えるアルテナショナルギャラリー
ベルリンに来て初めて美術館に行ってきました。
絵画鑑賞が好きで、日本にいるときや旅行のときは貪欲に美術館に行くのに、こっちにきてから、いつでもいけるやと思っていたらなかなか足が遠のいていた美術館。
芸術の秋ですし、そろそろベルリン美術館めぐりをしてみようかな~と。
まずは、博物館島にある旧国立美術館、Alte Nationalgalerieから。
ドイツの画家の絵が中心に展示されています。
いままでドイツの美術って名前を挙げられる画家もいないくらい全くといっていいほど印象になかったので、今まで知らなかった領域を広げてくれる美術館でした。
といいつつ、一番最最初の部屋で迎えてくれたのはイギリスの画家、ジョン・コンスタブル。
19世紀のイギリスの風景画家で、印象派の先駆者とも言われています。
好きな画家のひとりですが、イギリス以外の美術館で見かけることがほとんどないので、思いがけずここで出会えたのが嬉しかった。
John Constabl
The Grove, or the Admiral's Hous Hampstead
プロイセン宮廷の絵画を多く描いたアドルフ・メンツェル(1815-1905)。
フリードリヒ大王のサンスーシ宮殿でのフルートコンサートを描いた絵。
Adolph Menzel
Flute Concert of Frederich the Great at Sanssouci
象徴主義の画家、フランツ・フォン・シュトゥック(1863-1928)。
ファムファタール的な女性を得意とした画家だそうです。
なんとなくクリムトに似ているかなぁという印象を受けました。
この絵も妖艶を通り越してちょっと不気味。目を惹く絵でした。
Franz von Stuck
Tilla Durieux Depicting Circe
一階の廊下にはこんなふうに古典主義の彫刻たちが並んでいます。
2階へ上がる階段には、ドイツ史を代表する人物たちを掘ったレリーフが。
2階のロビーから眺める向かいのベルリンドーム。(天気が悪かったのが残念)
各部屋への入口は吸い込まれそうなグラデーションのドーム天井。
まずはアーノルド・べックリン(1827-1901)
スイス生まれの象徴主義の画家。先のフランツ・フォン・シュトゥックも彼の影響をうけているそうです。
印象的だった死神つきの自画像。
Arnold Böcklin
Self-Portrait with Death Playing the Fiddle
「死の島」とタイトルのついたこの絵が一番有名みたいです。たしかに、惹きつけられるものがありました。
ベックリンは同じタイトルで5点の作品を残していて、その一枚がこれ。そしてこの絵、ヒトラーのお気に入りでもあったようで、ここにあるのは彼が所蔵していたものだそう。
The Isle of the Dead
ラフマニノフの交響詩「死の島」作品29もこの絵に触発されて作曲されているそう。
Rachmaninov: The Isle of the Dead, Symphonic ...
やっと来ました、フランス印象派の部屋。
いっきに部屋の雰囲気が明るくなる。
と同時に自分の気持ちも明るくなります。
そりゃそうだ、光を表現することにこだわった画家たちの絵ですもん。
王道だけど、やっぱり私は印象派の絵、特にモネとルノワールが好きです。
私にヨーロッパへの憧れを抱かせたもの、そのひとつは印象派の絵画だったんじゃないかな、とすら思う。
世界にはこんな美しいところがあるんだ、って。
絵が、色彩が、優しすぎて泣きそうになる。
Claud Monet
View of Vetheuil-sur-Seine
Summer
Auguste Renoir
Summer
お隣はドイツ印象派の代表、マックス・リーバーマン(1847-1935)の部屋。
ドイツにも印象派の画家がいたなんて知りませんでした。
でも、フランス印象派の部屋と比べた時の印象、明るさの違い。
パステルグリーンの多いフランス印象派に対して全体的に茶色が目立つリーバーマン。フランスとドイツの気質の違いってこんなとこにも出るのね、って思っちゃいました(笑)
リーバーマンの絵の中で気に入ったのはこれ。テーマもマイスター制の根付くドイツっぽいかな。
Max Lieberman
Cobbler's workshop
最後に3階へ。
新古典主義の建築家でもあるカール・フリードリッヒ・シンケル(1781-1841)。
壮大なゴシック大聖堂を描いた絵が多かったです。
こんな場所があるなら行ってみたい!と思うものばかりでしたが、実存はしないんでしょうね。
Karl Friedrich Schinkel
Gothik Cathedral by the Water
ウィーンのビーダーマイヤー期を代表するウィーンの画家、ヴァルトミューラー(1793-1865)。
庶民の日常を描いた風俗画、民族衣装を着た子供たちがかわいいなぁと思った一枚。
Ferdinand Gerog Waldmüler
Return from the Church Fair
ベルリンも昔は美しい街だったんだなぁ~ということを教えてくれるEduard Gaertner(1801-1877)の絵。
絵画で見る昔の街並みって、写真で観るのとはまた違ったよさがあるなぁと思います。
以上。
ドイツの画家たちの絵が中心の旧国立美術館。
今まで知らなかった画家の絵とたくさん出会えました。
でもこうして振り返ってみても、ドイツの画家ってものすごく有名な人はいないんだなぁと改めて思ったりも。あまり美術に興味なくても誰でも知ってる、みたいな画家はいないんですね。
そして、国立美術館という割には19世紀から20世紀の絵ばかりだし展示に偏りがあるなぁ、なんて思っていたら、それ以前の時代のものはポツダマープラッツ近くの絵画館(Gemäldegalerie)にあるんですね。
こっちにラファエロ、フェルメールやレンブラントなど、超有名どころが揃っているようです。近々、絵画館にも行きたいと思います。
ベルリンの王道観光スポット博物館島なので、てっきり有名な絵もここに揃っているもんだと思ってました。うっかりうっかり。
観光でベルリンを訪れる方、時間がなくても効率よく有名どころ絵画だけを見たい方、お間違いのないようお気を付けください。
Alte Nationalgalerie
Bodestraße 1-3, 10178 Berlin
休館日:月曜日
開館時間:
火、水、金、土、日 10:00-18:00
木 10:00-20:00