なんの憧れももたずにベルリンに住んでみて感じたこの街の魅力とは
ここ最近も、「ベルリン好き?」って聞かれることがよくあって。
う~ん、、好きと嫌い半々かな~と答えるのだけれど、
1月後半から2月前半にかけてドイツ国内の色々な街に旅行した。わたし好みの歴史ある古い街たちだったり、比較的大きな都市だったり。だけど別の街にいるとふとベルリンを恋しくなることがある。
なんだかんだ、わたしにとってはベルリンを選んで正解だったんだろうな、と思う。
以前にもベルリンについて書きましたが、相変わらずこの街について考えてます。
初めて都会で暮らした。
都会で暮らすのも初めてなら、一人暮らしをするのも初めてだった。
“生活の場”としてベルリンについて考えてみた。
ちなみにわたし、千葉県市原市出身。
大学も職場も東京だったけれど、10年以上、実家から毎日1時間以上かけて都内まで通う生活。わたしにとって、東京は通うところだし、地元は寝るために帰るところ。
東京は活動するところで、地元は生活するところ。暮らしの場が二か所。
ベルリンを好きになれないと言いつつも、じゃぁいままで自分が日本で多くの時間を過ごしてきた東京が好きかと言われれば、東京もそんなに好きってわけじゃない。そりゃぁ東京には何でもあるし便利だけど、じぶんの生活がそこに根ざしているわけではないからそれ以上の思い入れはないのだ。
だからといって、小さい頃から育ってきた土地にもまったく思い入れはない。だってこれといって何もない、ただの住宅街。
そう考えていたら、あ、わたしって根無し草なのかもしれない。
なんて思ったり。
もしくはどこにも満足できない残念なやつか・・・。
そんなわたしが初めて活動と生活を同じ場所で過ごしたのが、今。ここベルリン。
そもそも、この街を好き嫌いというまえに、ここで暮らすこと自体が、これまでのわたしのライフスタイルとは違うのだ。
「大きくて、ごちゃっとしていて小汚い」ベルリンに対するこの印象は相変わらず。
だけど居心地はいいんだ。
パリでもロンドンでもなく、ミュンヘンでもデュッセルドルフでもなく、ベルリンで暮らせてよかったって思える。
変な街。
ドイツの中では断トツで大きい。
大きな都市って言われるけど、東京に比べたらなんてことない。
面積は23区より大きいけど人口は半分以下。
東京23区:面積621km2、人口約920万人
ベルリン:面積891.85km2、人口約350万人
生活感あふれる街並みがベルリンの魅力
住んだことはないけれど東京を思い浮かべて比べてみる。
確実にこことは違う景色。
ベルリン、首都、都会だけど高層ビルは数少ない。
圧倒的に住宅街。この街の大半は人々の生活するアパート。と公園などの緑地と湖。
ミッテ以外は近代的なビルなんてほとんどない。
一方わたしが思い浮かべる東京って、住宅街じゃなくて商業施設とかオフィスビル街。
無機質なビルたち。どこかの不動産会社たちが開発した街並み。
(これは東京に住んだことがないから故のイメージであるとはおもうけれど)
ベルリンと東京は全然違う。
ベルリンはいたるところに人々の生活感が溢れている。この街を魅力的にしているのは人々。人々の生活色が色濃いから地区ごとに、通りごとに表情が違う。
おしゃれなカフェやお店が多く活気あるプレンツラウアーベルク(上)やちょっと落ち着いた雰囲気で小ぎれいなシューネベルク(下)
こんなモダンなアパートも。
街を開発するディベロッパーではなくて、ここに住む人たちが、彼らの個性がつくりだすこの街の魅力。
街の至る所に見られる落書き?グラフィックアート?
なんだかおもちゃ箱みたい。
アパートの壁もドアも落書きだらけ。結構ひどい笑
ベルリンに来たばかりのころは「うわっ・・・なんでこんなに落書きだらけなの!?きたないなぁ」って思っていた。
街のいたるところで落書きを目にするけど、これを消してきれいにすることをしないのは、これもある種の個性として、まっさらなきれいな街並みより自分たちらしい生活感ある街並みとして受け入れているからなんだろうなぁ、と最近では思う。
ここに住む人たちと同じように、ベルリンは他人からの目なんて気にせずにマイペースに自由にのびのびとしている。
学生の頃、初めてロンドン、パリに行ったとき感じたのは、「こんなに古い建物がたくさん残っていて、首都機能をもちながらもこうして古い建物も共存できるの街って素敵!!」という驚きだったけど
ベルリンで感じるのは、大国の首都なのにこんなにのんびりしていられるのか、っていう驚き。
「ベルリンは 貧乏だけどセクシーだ」
ベルリン市長の言葉だそう。
自由気ままで目の離せない、魔性の女のような街ってことかしら。
でも、女性でセクシーだったらそれを売りにして金持ち男性たちに媚び売って貧乏脱却できると思うけどね笑
なーんて考えててたら、ベルリンてカポーティの「ティファニーで朝食を」(映画ではなく小説版)の主人公のホリーようなかんじ?
だけどきっと、ベルリンは裕福になることなんて望んでないように見える。
今のまま、じぶんたちのやりたいように、あるがままに。
ロンドンが良家の子女、パリがお高くとまった意識高い系だとしたら、ベルリンは周囲の目なんか気にせずわが道をゆくアウトロー。
んん、こんな例えを考えてたら、数年前までのわたしはパリタイプの女性になろうとしていたし、ベルリンタイプって周りにいない。受け入れられないと思って遠ざけてきたタイプ。そりゃぁわたしがなかなか素直にベルリンを受け入れられないわけよね。
「外国人」であるということが気にならない
これまで書いてきたのは単なるわたしのイメージだけど、実際生活の場として、外国人に寛容な街だから居心地がいい。
「浮きもしないけど馴染まない」江國香織の『神様のボート』にこんな表現があったとおもうけど、正にそんなかんじ。
わたしがこの街に馴染めているのかは分からないけれど、浮いてはいないと思う。
外見アジア人で明らかに外国人のわたしでも、駅や道端で道や切符の買い方を聞かれたことが何度もあって驚いた。道を聞かれるって、この土地の人と見なされてるってことでしょ?これは単純に嬉しい。
ドイツ語力がないが故に気づいていないだけかもしれないけれど、街中で差別的なことを言われて嫌な思いをしたことも一度もない。
外見アジア人でも、一過性の住人でも、ただいるがままに受け入れられてる。そんな感じが心地よい。
ワーホリ生活の大半を過ごしたベルリン。1年ちょっと前まではここに住むなんて考えてもみなかった。住んでみたいとも思っていなかった。東西分断という特異な歴史をたどった街。そんな歴史に負けず劣らず個性的な今のベルリン。
初めて一人暮らしをした街。わたしのワーホリ生活はベルリンとの折り合いをつけることでもありました。