ドイツでワーホリ!!

ドイツ留学専門エージェント「ドイツ留学サポートセンター」を運営しています。自身がドイツワーホリ中に書き始めたブログ。ドイツの情報や、海外経験についてなど書いています。

フラメンコ教室で感じるドイツと日本の違い

9月からベルリンでも習い始めたフラメンコ。

来週末の発表会に向けて『ソレア』という曲を練習中です。

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ダンス留学でもなんでもないただの趣味ですが、日本のフラメンコ教室と比べて違いを感じるところがあるので、それについて書いてみたいと思います。

 

基礎への重点の置き方の違い

私がフラメンコを習い始めた頃に感動したのは、ちょっとした腕の角度だったり体のひねり方で見た目の美しさが変わること。一瞬の動き、ポーズに美しさを求めること。

きっと、バレエや体操を習っている人にとっては当たり前のことなんだろうけれど、それまで全く体を使って表現する類のものをやったことのなかった私には、そのことがものすごく新鮮でした。

 

だって普段の生活で鏡で身だしなみ、お化粧をチェックすることはあっても、立ち姿の美しさまで追求するようなことってなかなかないでしょ?

 

レッスンではお教室の前面がすべて鏡になっているので、レッスン中常に自分の全身と対面することになります。このこと自体、なんだか照れくさくて新鮮でした。踊るだけでなくて美しく見せることも追求すること、これが「踊り」ではなくて「舞踏」ってものなのか、と感銘を受けたのです。

 

フラメンコはバレエほど体の柔軟さは求められないし、体型も関係ない。むしろお尻や胸にボリュームがあったほうが見栄えがするので、大人になってからでも気軽に始められるダンスです。

ちなみに、日本は本場スペインに次いでフラメンコ人口が世界第二位だそうです。

 

 バレエに比べてストイックな体作りは必要としないにしても、闇雲に踊っていてもだめで、やはりある程度姿勢に関する基礎、フラメンコらしく踊るコツみたいなのはあります。

 

その基礎を教え込むことへの重点の置き方が日本の教室と今通っている教室では違うなぁと感じています。

 

日本で通っている教室では、習い始めて5年以上経ついまでも、何度も何度も体の使い方を注意されるし、一瞬の振に対しても時間をかけて一人一人丁寧にどうしたらもっと美しく、フラメンコらしく踊れるのかということを教えてくれます。

 

それがベルリンのお教室では・・・

ちなみに、先生はアントニオ・ディアス先生。

スペイン人!!

と思いきやのポルトガル人(笑)男性の先生です。

 

たしかに、ところどころポイントとしてポーズの取り方、体の使い方を説明してはくれるけれど、だからといってそこでストップして時間をかけて正しい姿勢で踊れるようになるまで教え込むということはないんです。

 

だから、今のクラスの他の生徒さんたちもみんなフラメンコ歴5年程度で私と同じくらいだけど、私が見ても、あぁ~そんな踊り方してたら日本の先生だったら絶対注意するだろうな~って踊り方をしている。

 

そんな光景をちょっともどかしく思いつつも考えた。

日本の先生は細かすぎるのかしら。趣味なんだしそんなに厳格に教えこまなくても楽しく踊れていればいいのかしら。

たしかにいちいち基礎にばかり気を遣っていたら楽しさが半減してしまう気はする。思うままに体を動かしていればいいんじゃないか、という気もする。

 

趣味の教室であっても完成度の高さを追求する日本。

趣味なんだし完成度はそこそこに自由に踊らせるドイツ。

 

型にはめて基礎をきっちり教えるのが日本式

 

趣味のダンス教室をとってみても、こうして生真面目に細部にまでこだわる日本人の気質ってでるのね、と感じつつ、もうちょっと考えてみた。

 

例えば生け花とフラワーアレンジメントと比べてみても、気分やコンセプトに合わせて自由に創作できるフラワーアレンジメントに対して、生け花には活け方の指針となる伝統的に受け継がれている型がある。茶道もそう。

基礎の型を重んじるのは、日本文化の特徴であって日本人のDNAに伝統的に染みついているものなのかもしれない。

 

同じ「フラメンコレッスン」に対するアプローチにこうして日本とヨーロッパで差がでるのはちょっとおもしろい発見でした。

(ちなみに、フランスで一度だけフラメンコ教室に参加したときもこんなかんじでした)

 

 私は日本式のきっちり教えてもらえるのに慣れてきているので、やっぱりそっちが好み。だって先生みたいにかっこよく美しく踊りたいし。

 

今習っている『ソレア』、私はみんなより半年遅れて習い始めたけれど今では完全に追いついて一番正確に踊れています。

これは日本で基礎を教え込まれてきたおかげだし、やっぱり基礎がしっかりしているって強いんだなと感じるところ。

 

ピカソだってちゃんとしたデッサンが描けるし、書道も行書を書くには楷書がきちんと書ける必要があるように、どんな芸術でも基礎は大事ですよね。

 

ただ、こうして型通りに踊ることを教えられてきているので、表現力には欠けるんだろうな、とは思います。正確に踊ることはできても、「内面から溢れる情熱を体で表現する」みたいなことは苦手です。苦手というのか、型の破り方が分からない、という感覚かな。

 

これってフラメンコ教室だけじゃなくて、教育についても同じことが言えるんじゃないかと思います。

例えば語学学習。日本人はテキストに忠実に文法を覚えるのは得意でも、それ故に間違いを恐れて発言するのが苦手。ヨーロッパの学生たちは文法はちゃめちゃでもとにかく発言する。とか。詰め込み式教育を受けてきているので、ヨーロッパ人に比べて自分の意見、考えが言えない、とか。

 

と、フラメンコから話がそれてしまいましたが、よくも悪くも日本人は型にはめられることを刷り込まれてきているんだなぁと感じるのです。

 

振付は先生の気分次第!?

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本場のフラメンコはギターリストが踊り手に合わせてくれる、踊り手が即興で踊っていいものです。もちろん、曲によってある程度決まった振りはありますが。

 

でも私たちみたいに趣味のお教室ではちゃんと振付が決まっていてみんなで全く同じ振付で踊ります。 

 

それが、アントニオは週によって振りが変わることがある

私は真面目に家に帰ってもその週習った振りは忘れないように復習しています。

それなのにせっかく覚えていった振りがそっくりそのまま次の週にはカットされることも(笑)

えぇーーーーー先週あんなに練習したじゃん!!なんだったのさ、あれは!?

みたいなことが何度かありました。

自由。

 

しかもアントニオ、毎週のように振付を忘れる。しかも毎回同じ箇所。

「あれ?この次なんだっけ?」で私がこうです、って教えてあげて「あぁ、そうだそうだ!」っていうのが何度もありました。先生しっかりー(笑)

 

あとは、月に2回ほどギターリストのおじさんが来てくれて生演奏で練習できるのですが、ギターリストと話し合ってその場で振りが変わることも。

 

振付がコロコロ変わるのは必死に覚えている身としてはちょっと困るけれど、音楽に合わせてその時のノリで振付をこうしよう、って決めている先生を見れるのは、本場に近い感じがしてさすがだなぁと感じます。

やっぱり日本人の先生が踊るよりも迫力があるので、見ていてものすごくテンションが上がります。

 

踊りまくって体にたたきこむ!

基礎へのこだわりは薄いけれど、アントニオのクラスではとにかく何度も何度も同じ個所を繰り返し踊ります。頭で考えずとも体が自然に動くようになるまで踊らされる感じ。

 

今のクラスは毎回生徒が3~5人と少人数なので、みんなで円になって向き合って、ひとりづつ順番に踊らされることもあります。

私は日本の教室でさえ、ほんのひとパートであってもみんなに見られながら一人で踊るって苦手なんです。「間違ったら嫌だな、恥ずかしいな」って気持ちが出てしまう。

 

それが表情に出てしまった私を見て、アントニオに「間違ってもいいから、そんなの全く問題ないから。間違ってたら僕が直してあげるから」と言われ、この練習で音楽と一体になる、踊りに入り込むっていう感覚を初めて経験しました。

 

最初はみんなの視線を浴びてひとりで踊ることに硬くなっていたのですが、踊っているうちに音楽に合わせて体を動かしていることがすごく気持ちよくて、ふと先生と目があった瞬間に思わず笑顔がこぼれてしまうくらい、うわっ、めちゃくちゃ楽しい!!っていう感覚。

 

大げさかもしれないけれど、踊ることで気持ちを解放する感覚が分かった気がします。

これを経験できたから、フラメンコを踊ることが今までよりもっと楽しくなったし自信がつきました。

 

ここはフラメンコの本場ではないけれど、日本の教室では経験できなかった感覚を教えてくれたアントニオ。発表会が楽しみです。

 

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