ベルリン のきたなトランで飲食店の経営について考えてみた
シューネベルクにある小さな韓国料理屋さん。
ガラス張りのシンプルな外観。
予めここがレストランであることを知っていなければ、気づかずに通りすぎてしまう。
よくみたらKOREAn FOOD、nだけ小文字になってる。もともとはKOREA FOODで間違っちゃってたのかな?(笑)
ガラスは店内の熱気と冷たい秋の外気温の差で結露しているせいで店内の様子もよく分からない。
結露した窓ガラスってなんとなく冬の満員電車を連想させて、それだけでちょっと店内の空気が淀んで見えてしまう。
午後4時前。
店内の電気もついていない。
あれ?今日は閉まっているのかな?と思ってしまうほどに全くといっていいほどお客さんを歓迎する気のない外観。
ヴィンターフェルズプラッツの目の前、だいぶいい立地なのにこのやる気のなさ。なかなかやるわねぇと思う。
ドアを開け店内に入ってみると、6人がけの相席のテーブルが2つと、2人がけのテーブル1つ。壁に沿ってカウンター。
奥の厨房では中年の韓国人女性と青年が働いている。
すでに8名ほどの客がいて、私はサラリーマン風の男性とアジア人女性の真ん中の席に座ることにした。
メニューはカウンターの上に置いてあって自分で取りにいかなければならない。
壁には一面に書かれた手書きの聖書の文言たち。
カウンターもテーブル席が満席だとカウンター用の椅子を出してくれるけど、ドリンクのストックがびっちり。脚を入れるスペースはない。
市販のクリアファイルを使ったメニュー も、メニューが載っているのは最初の3ページのみであとはキリスト教の教えを書いたものばかり。メニューが載っているページですら上半分は宗教的な内容^^;
決して綺麗ではない店内、聖書の文言に囲まれ、居心地がよいとは言えない。
それでも次々に新しいお客さんが入ってくる。
一人で来る女性客もいる。
私が注文したのはKal-Guk-Su。鶏肉入りのヌードル。7.5ユーロ。
食べながら考えた。
卵、きゅうり、ネギ、鶏肉、うどん(みたいな麺)。
原価はケバブと大して変わらないだろうに。
金額はその倍。
結構儲かってるんだろうなぁ。
飲食店なのにトイレすらない。
ちなみに、装飾のない窓ガラスに貼られているのはトリップアドバイザーのステッカーと『トイレありません』の張り紙。
もうちょっと他にアピールすることはなかったのかい?
ゆっくりできる雰囲気でもないし、したくもないし、長居する場所ではない。
だから回転率もすごくよい。
飲食店の利益を左右するもの、人件費と回転率。
私が飲食店を経営するとしたら、回転率とお客さんが来たいと思える居心地のよさ、よい外観はジレンマだなぁと思うのだけれど。
そんなジレンマを微塵とも感じさせないこのお店。
見事に長居はしたくない環境がつくり挙げられている。
それでもこれだけ次々とお客さんが入ってくるのは、味がうけているんだろうなぁ。
実際、yelpというドイツ版食べログみたいなサイトの評価は星4.5個!
でも、日本人の私からしたらとりたてて美味しいというものでもない。
この麺もスープに微かに魚介のダシを感じるかな?くらいなかんじでちょと薄いかんじ。
日本で食べる、韓国人が経営している韓国料理の方がおいしい。
この程度でドイツ人にはウケるのか、と思ってしまう。
ドイツ人、きみたちの舌はその程度か!!
この人気はなんだろう。
考えてみたけど、ただ「韓国料理だから」ということだけだと思う。
インターナショナルなベルリンでもまだあまり見かけない韓国料理専門店。
日本食は寿司を筆頭にだいぶ浸透しているし、中華料理、ベトナム料理、インド料理、タイ料理、もよく見かける。
そんなアジア料理の中でも韓国料理はまだ珍しいのだと思う。
しかも味がしっかりしたものが多いからドイツ人好きそうだし。
「韓国料理=珍しい」というだけでこんなに繁盛するなんて、なんというアドバンテージ。
よく、中国人がやっている日本料理ってのはどこの国でもありがちだけれど、こんなにうけるなら日本人が韓国料理をやるってのもありなんじゃないか!?
そんなことを考えてみたのでした。
そんなことしなくても日本食人気もすごいですけどね。
無形文化財「日本食」があるって日本人の強みだなぁと思う。
このお店にしてもそうだけど、「韓国」とか「日本」とか、自国の文化がそれだけでうけるのは外国に出ることのアドバンテージですね。
韓国レストランIxthys
Pallasstr. 21 10781 Berlin